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Immortal Pills
(Japanese)
不死の薬
ぼくやすだくん。小学4年生だー
あるひ、遠足に行くことになりました
みなさん、おべんとうはわすれていませんか?
おーいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおい
先生お弁当をわすれましたーーああーああーああーあ
そうですかそうですね。それではこのせべんいれべんにいって、おべんとうをかってきなさい。
はーい!はい!はい!
安田君のストーリー「可能の町で、死人が死んだ」
や「やーしょうちゃん、おはよう!」
あ「やーやーくん、はやくがっこうにいこう」
ほ「あ、ああ、二人とも」
や「あ、ほしのくんだ、今日は早いね」
は「ねあ、二人とも、どうしたの?ニュース見なかったの?」
あ「え?星野君こそどうしたんだい?そんなにあわて」
ほ「いやあ、それが大変なんだ、欺、欺瞞の町で、しじ、し、しじんがしんだ」
や「ぎまん?じしん?」
あ「詩を書く人のこと?」
ほ「しじんがしんだ・・・あ、し」
あ「分けわかんないから、とにかくいっかいもどってニュースを見てみよう」
や「うん、そうだね」
ほ「ああ、あ、あ」
青輝君の家
あ「あ、ニュースだ」
ポッピンマペット「さ~て、今朝のいけにえになるのはどの子かな~?ふははは!!!!」
や「これちがうよ、ポッピンマペットだよ、このあと、魔王がゲストの子供をなべに放り込むんだ。そこへマイトン・ターナー市議会議員が舞い込んできて・・・」
あ「もういいよ、こんなのみてるから君はいっつも遅刻なんだ。ニュースに変えなきゃ」
ニュースキャスタ「・・・そうなんですねウェルター教授」
ウェルター教授「はいぃ、この新薬で、人間の細胞は無限に再生を繰り返すようになります。今まで失われていた細胞の活力も戻ってきます」
ほ「こ、これだ!!!」
あ「これ?」
ウェルター教授「人間を構成する細胞は60兆ありますが、其のすべての細胞が再生復活、さらには不死身となる、つまり、人間そのものも完全無欠の不老不死となるのです」
あ「な、なんだってー」
キャスタ「つまり、われわれ人間は不死身になるのですね?」
ウェルター教授「はい、そうです。人類はとうとう不死身になるのです」
あ「ええ、うそだろー」
キャスタ「言い換えると、われわれはもう死ななくてよいのですね?」
ウェルター教授「其のとおり、何せわれわれは不死身になる方法を手にしたのですから」
あ「そ、そんなー」
キャスタ「とどのつまりは、人類の歴史から死という概念が永遠に消滅するということですね?」
ウェルター教授「私は歴史学者ではありませんが、そういえるでしょう。なにせわれわれはもう不老不死なのですからね」
あ「ええー、なんだってー」
や「もういいよあおきくん、わかったから。人間は不死身になったんでしょ」
あ「どうやらそのようだね、ついにこんな時代が来るとは・・・」
ほ「ああ、あ、ほらみてよ!!つづきが」
キャスタ「この人間を不死身にする新薬の開発に伴って、第五惑星統一機関部は、今日付けで新しい法律を発表しました。第五惑星の現時点でのすべての市民は、この不死身になる新薬の服用を義務付けられます。薬品投与は無料、差別なく行われます。この法律は、第五惑星のすべての国で有効です。繰り返します・・・」
あ「えー、なんだってー。テストはやったのか?」
や「今日は、テストはないよ」
あ「そうじゃなくて。新薬には副作用のテストを受ける必要があるんだ。其のことについては、何も言っていないようだなあ・・・」
ほ「ぼ、ぼぼぼぼくたち、一体、どうなっちゃうんだ?」
や「不死身になるー」
あ「うん、そうだね。でも、どうなのかなぁ・・・」
や「どうってなにが?死ななくてもいくなるんだよ?」
あ「だけど、でも・・・」
や「あ、学校に遅刻だー」
ほ「もう、学校で、みんなちゅうさ、注射をされちゃうのかなーって、思って、二人を引き止めたんだ」
あ「僕も、こんな重大なニュースのある日には、学校なんて休みになるだろうと思うよ」
ほ「そ、そそそうだろ!?しょーちゃん!!!」
や「でも、とりあえず学校に行ってみようよ!みんながいるかもしれないよ」
あ「うん、そうだね。みんなと会って、このことについて話し合わなきゃ!!」
ほ「ああ、あそーだね、いってみよう!!」
3人は、青輝君の家を飛び出した。通りには、このニュースを聞いて、狂喜乱舞する人があまた躍り出ていた。
「うはは!おれの毛根も復活だ!!しかも、植毛の金もかけずに!!だ!!」「私の崩れた顔の細胞も、元通りだわ!」「おれのぶっ飛んだ手も戻ってくる!」「あたしの彼シーも帰ってくるわ!!!(?)」「僕の財布の中身も満タンに!(?)」「息子の白血病が無料で治るわ!」「もうスタントマンを雇わなくてすむ!」「これで妻を気にせず不倫できる!」「これで毎日車をぶっ放せるぜ!」「誰も棺を買ってくれなくなる。わしは破産じゃ・・・」「大丈夫、私たちが買いますよ、永遠に!!」「さあ、みんなでタイタニックに乗ろう!ヒンデンブルクで飛ぼう!チャレンジャー号で宇宙へ!事故死体験ツアー!!!」
病院では、病人たちは輪になって踊り、医者たちは落胆し、怒りに震えていた。「もう患者なんて言葉をきくことはないのか。不死身の薬なんて誰が開発したんだ!!!」
ハッケンハイマー氏はこの新薬発見をどのように把握するか。
「私の主眼では・・・(作品の根幹に係る事項のため、後ほど記述)」
さて、安田君たちは学校に着いた。クラスの皆はそろって先生の話を聞いていた。
フライド先生「そこの3人衆、遅刻ですよ」
あ「えー、こんな大事件のあった日に遅刻を取るんですかー」
ほ「ぼくたち、朝のニュースで、ほんっと、びっくりしちゃって・・・」
先生「言い訳はご無用ですよ。席に着きなさい」
や達「はあい」
先生「さて、今日は重要なことを伝えなければなりません。今日、学校で・・・」
安田君、隣のジェーンにむかって「不死身になる薬を飲むんだ!」
ジェーン「え?なにそれ?」
先生「そこ、うーるさいですよ!はい、今日学校で、皆さん全員に与えなければならないものがあります。それは・・・」
星野君、隣のジョアンナに向かって「不死身の薬だ!」
先生「黙って最後まで私の話を聞きなさい!いいですかいいですね」
ほ「はあい・・・」
先生「さて、皆さんに与えるべきものとはこれです」雑巾を手にしている。
みんな「えーその合成繊維の集合体は何ですか?」
先生「これは雑巾というものです。ポリエステルの繊維からできた布切れです。これはなんに使うと思いますか?ジョージ」
ジョージ「えっとー、犬みたいにかんで遊ぶ!」
先生「ちがいますよ、よく考えてからものを言うことね。他には?アルスキー?」
アルスキー「クロロホルムを染み込ませて、顔に押し付ける」
先生「スパイですかあなたは。時代錯誤もいいところですね。ジョスリンはどうかしら?」
ジョスリン「ず、頭巾ですか?」
先生「違います。あなたの家はそんなに貧乏なのですか?あゆみ、あなたの意見は?」
あゆみ「ジョスリンの家は貧乏じゃありません!」
先生「そーじゃなくてこの布は何のため?」
あゆみ「あー、えーと顔を拭く!」
先生「今まで出一番妥当な線です。あなたの家も相当のようですね、あゆみ。さて、拓、あなたは・・・」
吉田君「はいはいはいはい!めいんでぃっしゅ!めいんでぃっしゅ!めいんでぃっしゅ!」
先生「あなた来るクラスを間違ってませんこと?いいえ、間違いなのは私でした。答えを聞く相手は、そうですね、ここはクラス一の秀才にさっと答えてもらいましょう。やたら頭でっかちでスポーツはまるでだめな、天才ではないけれど、がり勉の秀才君、青輝翔、答えて御覧なさい」
あ「ぞうきんは汚れた床や窓を拭くためにあります」
先生「発音良く、日本人」
あ「ぞうきんは汚れた床や窓を拭くためにあります!!」
先生「よろしい。グリフィンドールに10点追加。この学校は寮制ではありませんが、ともかく皆さんこの雑巾を持って学校中の汚れたありとあらゆる箇所をきれいにしてもらいます、今日は!!!」
ここで、アナウンスメント。
「えー先生方、先生方、ただいまより緊急会議を開きますので、会議室Ш(シャー)に至急集合してください」
先生「はい皆さんではおとなしく待っていてください。1分で戻ります」
1分後!
先生「皆さんに重大なお知らせがあります。たった今の会議で、今日皆さんはこの学校である薬の投与を受けることになりました。その薬とは・・・」
(同時に)先生「不死身になる薬です」
(同時に)あ「不死身の薬だ!」
(同時に)ほ「ふしのくすりだぁ!」
みんな「えーーーーーーーーー!!!!!?」
ジェーン、安田君に向かって「あんたやるわね」
先生「皆さんはこれから、不死身になる薬の投与を受けなくてはなりません。これは第5惑星統一部が発表した新しい法律による決まりです。決まりは守らなくてはなりません。わかりましたねわかりましたね?」
みんな「はーーーーーーーーーーーーい」
先生「では皆さん、廊下に整列してください」
みんな「うわーーーーーーーーーーーーーー」
体育館に集まった児童達。真ん中の怪しいゲートに列を作る。
先生達「さあみんなこのゲートをくぐって、薬の投与を受けてくださーい」
さーて、安田君たちは不死身になってしまうのでしょうか?つづく。つづくったら、つづく。
CM
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CM明け
や「どうしよう?くすりうける?」
あ「えーでもなあ、なんだか危険そうだなあ」
ほ「あー、僕もなんか、怪しい気がするぞー」
や「じゃー僕が受けてきて、感想を述べるよ」
あ「うん、そうだね。ってえーーーー!!?」
ほ「あーやーくんがもうあんなところまで」
あ「とめなきゃ!」
次々と不死身の薬を投与される児童たち。ゲートを通るたび、怪しい緑の閃光が走る。
「(ぎゃーーーーー!)」「Aaaaaaaaaaaaaah!」「Yeeeeeeeeeessss!」
「私は不死身だ!!」「ふははははは!」皆、思い思いに叫んでいる。
ルイ君「わー」ミンクちゃん「キャー」ジョージ「うおおおおおお」ドロシー「Nooooooo!」
不死身になったルイ君「HAHAHA!俺様は不死身だ!」
不死身になったポール「あれ?君達薬はどうしたんだいもうやったのかい?薬はいいよ~。たった一回だけだから、やってみなよ。本当に気分がよくなるよ」
ほ「ああ、あ、遠慮しとくよ・・・」
あ「あー、やーくんがゲートに入っていく!!!」
や「うわあああああああああああああああー」
や「やあ、しょーちゃん」
あ「あれ?安田君今ゲートに・・・」
や「そうだよ、薬を受けたんだ」
ほ「だ、だいじょうぶ?」
や「うん、普通と変わらないよ!」
あ「え?ほんとに?じゃあ怪我しても治るの?」
や「そーみたいだね」
ほ「えーほんとかなあ」
や「ほんとうさー。アッーーーーーーーー」
どしーん。安田君はひざをすりむいた。
あ「あ、やー君大丈夫?」
しゅわー。安田君のひざの傷は見る見るうちに自然治癒した。
や「あいやー、ほら、本当だろう?」
ほ「こりゃあすげえや!」
あ「一体、どうなってるんだ?」
や「さーもう遊びにいこー。今日はこれで終わりみたいだし」
あ「うん・・・」
ほ「ああ・・・」
先生「待ちなさいそこの2人」
あ「あ、先生」
先生「不死身の薬は全員が受けなければなりません。あなた達も例外ではないのですよ!さあ、こっちにきなさい」
ほ「にげろーーーーーーーーーー」
あ「うわああああああ」
や「やーーーーーーーーーー」
先生「まったくいつもいつも問題を・・・後々大変なことになりますよ!!」
LRT通りに出る。
あ「あーーーーー」
や「なーーーーーーー」
は「あー、やーくん、危ない!」
LRTに轢き逃げされる安田君。
や「うぐぐ・・・ぎぎぎ・・・。やあ!僕安田安司!」
あ「やーくん大丈夫?」
や「大丈夫さ!ううぃい~」
ほ「よかった~」
あ「とにかく、僕の家に・・・」
ほわわわ~ん(青輝博士「やあ安田君、不死身の薬を受けたんだね。君の体がどうなっているか実験してもいいかなぁ~?はっはっはっは」)
あ「いや、大石博士に相談しなきゃ!」
や「大石博士だって?なんで?」
ほ「遠すぎやしないかあ?」
あ「いや、でもいくしかないんだ!」フーバーボードを持ってこよう!」
や「ねー青輝君、僕はぜんぜん大丈夫だよ。薬のおかげでとても元気さ。心配することないって」
あ「でも、きっと何か副作用が出てくるはずだよ。だから、大石博士に調べてもらわなきゃ!」
や「うーん・・・」
ほ「あ、二人とも!あの人を見てよ!あの人、はげていたのに、髪の毛が戻ってきたみたいだ!」
や「それに、あの人は、重い病気がいとも簡単に治って、喜んでいるよ!」
ほ「あの人は、不老不死の体に任せて、スピードに興じているぞ!」
や「そしてあの人は・・・、あの人・・・なにしてんのかな」
ほ「みんな、生き生きしているなあ。ぼくも、不老不死の薬を、受ければよかったかなあ・・・」
あ「なにいってるんだ。不死になったときのことを考えてごらんよ・・・」
二人、安田君に一瞥をくれる。
あ「楽しそうだなあ・・・。いやとにかく大石研究所に行こう!」
や、ほ「オーー!」
キャスタ「ここで臨時ニュースです。不老不死の薬の投与をされた人たちが、本当に不老不死になったかどうか確かめるため、ロコトルア政府は、自国の軍隊を自国に派遣し、自国の市民にむけて攻撃を試みることを決定しました。市民の皆さん、心配する必要はありません。あなた方は不死身ですから、気にせず普段通りの生活を送ってください」
どどどどどどどどどどどど。
♪僕ら不死身のぴーぽーぴーぽー(people)ロコトルアのぴーぽーぴーぽー、戦車に乗ってトラックに載って、軍輸ヘリに乗って戦闘機に乗っても、ロコトルアピーポー超自然の摂理―♪
この歌にあわせて殺戮が繰り広げられる。人は死なないけど。
夕暮れ、小屋の中でポーカーをする農民達。「麦20トンかける」「よし、おれはうちのヤギ20頭」
ばん!!板のドアが蹴破られる。「ひー、おまわりだ!?かくれろー」「お前ら、投与はすんだか!?」
「ああ、全員受けてきたよ・・・」「よし、攻撃開始!!」ずどどどどどどど「ぐあああああ」「ぎゃーーーー」崩れ落ちる壁。夕日を受けて煌きながら飛び散るカード。
「攻撃止め!」しゅわー。「あれ、おれ達、生きてる!」「そうだ、おれ達は不死身なんだ!」「ありがとう、兵士さん達よ!(?)」兵士と抱き合って喜ぶ農民たち。
キャスタ「あなた方は、不老不死なのです!!」
ロコトルア軍、スーパーマーケットを襲撃。平然と買い物を楽しみながら撃たれる市民達。
ロコトルーア軍、急行列車を襲撃。平然と車窓を眺めながら撃たれる旅行者達。
炉湖取亜軍、小さな村を爆撃。爆弾の雨の中、平然と祭りに繰り出す村民達。
ロコトルヤ軍、城壁の前に並ぶ市民達に発砲。平然と税金抗議活動を行うイーセンラント島民。
キャスタ「あなた方は、不死身なのです!」
ハンマーで殴りあう男女。尻を噛み合って争う男達。グレートロコトルア滝に飛び込む馬鹿。
キャスタ「不死身なのです!!!」
老人の顔が変化し、若々しい青年になる。名誉軍人の腕が生えてくる。(グロ注意!)
スロー再生のキャスタ「ふーじーみーなーのーでーすー!!」
辺りは夕暮れ。安田君たちはフーバーボードで大石研究所へ向かっている。
あ「ああ、もう何も食べてないし、疲れたよ・・・」
や「僕はぜんぜん疲れてないよ」
は「あ、そうか、何せ不死身だからね。でも僕、おなかが空いて気が狂いそうだよ・・・。うわああ」
あ「どうしたの、亮君。あああああ」
や「あ、あれは!!」
少佐「そこの3人、止まりなさい。君達は攻撃を受ける義務がある!!君達が不死身かどうかを確かめるためにだ!!!」
あ「えー、なんだってー」
ずばばばばば
ほ「やつら、本気で撃ってきてるよ!!」
や「大丈夫さ~だって僕らはふじ・・・あ」
あ「僕は不死身じゃないんだよ!!」
ほ「僕もさ!!早く逃げなきゃ!!!」
や「わーーーーーーー」
ずばばばばばばばばばばばばば「逃げても無駄だ!」
や「よーし、僕がひきつけるぞ!」
ほ「頼んだよやーくん!!」
あ「あ!あの倉庫だ!」
ほ「隠れよう!!」
や「ヘイ兵士達、ぼくはこっちだぞ!」
兵士達は無視して二人を追う。
や「お、おい、おーい」
ずどどどどどどどどどど
あ「あ、しまった、追ってきた!」
ほ「はあ、はあもうぼくははしれないや・・・」
兵士「見つけたぞ!」少尉「全員、発砲!」づだだだだだだだだだ。
あ「ぐぎゃぎゃぎゃぎゃ!!」
ほ「あがががががが」
蜂の巣にされる二人。ぶっ倒れている二人に少尉が近づく。
「よし、二人も不死身だったような」
や「えー、なんでー」
少尉「ほら、起きてごらん」足で2人をつんつんする少尉。のろのろと立ち上がる2人。
あ「ぎぎぎ・・・」
ほ「あれ?なんで?僕ら撃たれたのに?」
あ「どういうこと?不死身の薬は受けてないのに!」
少尉「え、薬受けてないの?」
あ「はい」
少尉「ん~まあ、そういうことも、あるってことで・・・(面倒には巻き込まれたくないな)では、任務完了、全員撤退!!ご協力どうもね、おチビさんたち!!」
あ「え、ちょっと待って、どういうことなんですか~?あー行っちゃった」
ほ「とにかく、僕らも不死身っていうことかな?こりゃあいいや!ふいーやう!」
あ「多分、違うと思うよ。この銃弾をみてよ。ふにゃふにゃだ。これを物質特定機にかけると・・・」
や「なんだろう?」ピピッ!特定された。
あ「スターチだ!なあんだ」
や「すたーちって、コーンスターチのこと?」
あ「そう、即ち、デンプンだね」
ほ「コーンだって?じゃあ、食べていいんだね?」
あ「止めといたほうがいいよ」
へ「えーなんでー、もう、僕はおなかすいてるんだ、もう、おこったぞー、自殺してやるんだ、でも、僕は不死身だからなー」
あ「だから違うって!!!」
ほ「うわーーーーーー」 がけから落ちる星野君。
どしーん。
フーバーボードでめっちゃめちゃに怪我した星野君を運ぶ青輝君と安田君。
や「大石博士のとこまであとどれくらい?」
あ「えーと、あとだいたい・・・」
1時間後!
切り立った海岸の上の大石研究所が月明かりに浮かび上がっている。
あ「やっとついた・・・」
や「大石博士―いる?」
ほ「あがががが、ぎぎぎ・・・」
大石「おお、3人じゃないか!君達の親が心配していたぞ!とにかく中へ入りたまえ!」
銀色の自動ドアーがしゅっと開き、動く廊下にオレンジのLEDがともる。
あ「大石博士!ってああ!!」
やけに若々しい大石博士。というより完全に若返っている、30代くらい。
大石「おお、よく来たなあ。坊や達」
あ「大石博士も不死身の薬を使ったんですか!!?」
大石「はっは。これはホログラムじゃ。わしの自作じゃ。よくできてるじゃろうなっはっは」
後ろからにわかに現れる大石。
や「遊んでないではやく星野君を治してあげてよ、博士」
ほ「ぐぎぎぎぎぎ・・・」
大石「おっと、これは大変だ!八島君、医療キットの用意!」
八島「はいはい!承知しました」
うぃーん。医療キットが作動し、星野君のすりむいた箇所に湿布や絆創膏などが神のごとき早業で貼られていった・・・!!
八島「まさに神の手だ!人間はついに神の領域に到達した!科学の勝利だ!!!ふはははは」
あ「大丈夫?」
ほ「ぐががががが・・・」
や「もうだいじょうぶだね」
あ「大石博士、皆が不死身の薬を受けるよう強制されているんです」
大石「うん、其の通りじゃ」
あ「副作用が出るかもしれないのに、次々と、差別なく受けさせるんです!」
大石「そうじゃな。副作用の研究もまだ十分なされていないようじゃ」
あ「大石博士、このままにしておいていいのでしょうか?皆が健康になるのはいいけど、なんだかみんな、考え方がおかしくなってる気がするんです。自分の体を、まるでキカイみたいに粗末に扱うようになって・・・」星野君を見る青輝君。がっかりした面持ちで続ける。
あ「痛みとか、死ぬこととかを、なにかすごく大切なことを忘れちゃうような気がするんです。とにかく、不死身になるなんて夢みたいなことは、夢のままでいいと思います!そんなことが現実になったって、いいことなんかありゃしないんです!」
大石「不老不死なんてものは、今でもちゃんと夢の中の出来事だよ、翔君」
あ「え、どういうことですか?」
大石「つまりね、すべてはロコトルア政府を挙げての狂言だったわけじゃよ。不死身の薬なんて開発されてはいないのじゃ。私の知る限りではな」
あ「じゃ、え、政府はなんでそんなうそを・・・?」
大石「翔君、君がもし不老不死の薬を飲んだら、どんな気分になるじゃろうか?」
あ「うーん、おかしな感じだけど、元気が出そうだし、何でもできそうな気分、かな?病気の人も、すごく元気そうに・・・」
大石「そう、それなのじゃよ。嘘の不死身薬は、思い込みによって元気になることを狙った治療の一環だったのじゃ!政府は、人々の健康への希望に託して、この壮大な狂言を執り行ったわけじゃ。この純粋な思い込みによって、国民が健康になれば、医療費が浮くじゃろう?」
や「そんなことあるかい!」
あ「そうか!それで、ロコトルア軍の銃弾も、デンプンでできていたわけだ!本当に殺しては、いけないからね!」
や「でも、自分が不死身だと信じて、ビルから飛び降りた人たちは、どうなったの?」
大石「そういう人たちは、薬の投与のときから行動を観察されていて、ロコトルア政府の派遣した観察員にちゃんと救われるのじゃ。そして、今翔君が言ったようなお説教を、延々6時間38分聴かされた後、反省寺で1日修行をするのじゃ」
や「なるほどー」
ほ「あばばばばば」
あ「あれ、でも、安田君は、本当に不死身だったよ?」
大石「え?それはどういうことじゃ?」
や「僕はねー、転んでも、LRTに轢かれても、怪我しなかったんだ!」
大石「なんということだ・・・君はもしかして、何億人に一人といわれる特殊なケースかもしれない。八島君、血液検査の準備じゃ!!」
八島「はいひあーかしこまりましたー」
ぴぴっ3時間後!
大石「君の血液は・・・すばらしい、君の血液型は12億人に一人といわれるHaNAJi(+)型だ!安田君のこの血液がテキトーに作った不死身薬と混ざって、本物の不死身薬ができたのじゃ!これはすごい!ひゃっほーーーーーー!!」
あ「(どっかで聞いたことある話だなあ・・・)さあ早く此処を出よう、でないと実験台にされるぞ!」
や「うん、そうだね。うわああああーーーーーーーーーーーー」
ほ「ぎぎぎ・・・待って二人とも・・・」
急いで研究所を飛び出す3人。
大石「待ってくれえ、人類の夢がかなうのじゃぞ!!」
あ、や「ああ~・・・」
や「僕、不死身を解除してもらうよ」
あ「え、でも・・・」
や「さっき、しょーちゃんが云ったとおり、僕も自分の体を粗末に扱ってしまいそうだよ。だから、解除してもらうんだ」
あ「やーくん・・・」
2分後!
や「解除してもらったよ!」
あ「早っ!て言うかどこでどーやって?」
や「まーいーじゃない、夢だったんだから」
あ「夢?あー、え?」
や「サーはやく学校に行こう!」
あ「学校?え、あ、もうそんな時間?うわー急がなきゃ」
ほ「あ、あ、待ってよ二人とも、たた、大変だ」
や「あ、亮君、今度はどんなニュース?」
ほ「し、しし、しらふの町で、バーガー大安売り!!!あははははははだーーー」
や「もう正気じゃないね」
あ「大丈夫?」
ナレータ「いつかは死ぬ3人は、いつものように学校に行き、いつものように遅刻し、いつかは死ぬクラスメイトと楽しく遊びました!おしまい!」
あ「ところで、大石博士はなぜ真相を知っていたのかな。もしかして・・・黒幕なのか?」
ハッケンハイマー氏は語る:私の主眼では、不老不死など春の夜の夢に等しい。それは、人生のすべてを収めた8mmフィルムを無限に引き伸ばしただけだ。スクリーンに投影される影は薄くなり、一こま一こまの重要性は、観客の時間の観念の中で衰弱していくことだろう。この不老不死の最も愚かしいのは、その熱狂的なカリスマ性にある。古代の神話で不老不死にまつわるものは数多くあるが、実は生死や現世利益といったものの渦中にあるものがほとんどではないか。現代の人間ももちろんこれらの時代の人間となんら変わってはいないのだ。輪廻から解脱したものが仏陀であるように、不老不死という概念そのものを超越することこそ、本来の永遠性を得るもの、すなわち悟り人になれるのではないか。私は、そのような悟り人こそ不老不死を望まぬがままに勝ち得ているのではと思うのだ。
インタヴューワ「はい、意味わかりませんね。ハッケンヘイマー(Hackenheimer)さん、ありがとうございました~ではまた~」
市民はうすうす感じているようだ。自分が不死身ではないことを・・・。
「政府め、おれをだましやがって・・・!」
其の怒りのパワーは、自己発電システム(GYM)で発散され、エネルギー自給に役立ったとか・・・。
Written by tachyon